歯の価値と歯周病〜口腔ケアのススメ〜

健 康

目 次

はじめに

みなさんは歯はあって『あたりまえ』そう思っていませんか?「歯1本の価値」についてどのような認識を持っていますか?

最近では歯の健康状態と全身疾患の関係性も明らかになっています。

歯は資産であり、健康寿命を伸ばすためにも口腔ケアは必須です。

この記事では、『歯の価値』と『歯周病のリスク』ついて紹介します。

ちょこぶら
ちょこぶら

歯の価値?

歯周病って口の病気のことでしょ?

この記事はこんな方におすすめ

☑︎歯の価値について知りたい方

☑︎歯周病のリスクについて知りたい方

歯の価値について

日本予防医学協会が調べたアンケートがあって、日本人の歯に対する評価は低いことがわかっています。

【日本人の一般の人が思う価値】
歯1本 約35万円 口の中全部(28本)で、973万円

【歯科医師が思う価値は】
歯1本 約104万円 口の中全部(28本)で、2913万円

【アメリカ人の一般の人が思う価値】
歯1本500万円、口の中全部(28本)で1億4000万円

実際にあった事例で、歯科医院で歯科医師が抜く必要のない歯を抜歯したことについて損害賠償請求が認容されたケースがあります。その際に生じた慰謝料が「150万円」という金額でした。

その他の損害賠償の事例でも歯一本につき80〜100万円という請求がされています。

このことからも口の中の歯の本数は28本なので、
100万円×28本=2800万円
そうなるともともと口の中には、2800万円の価値を持っていると言えるかもしれません。
専門家の見解では歯は1本100万円、口全体で3000万円くらいの価値があるといわれていますが、どんなにお金があっても、1度失ってしまった歯は元には戻せません。お金に換えられないあなたの歯なので、一生大切にする方がいいということが言えます。

歯周病と全身疾患について

歯周病とは

歯周病とは歯垢の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことです。

この歯周病が最近の研究によると他の全身疾患と関連していることが分かってきました。歯周病には中高年の90%近くが罹患しているのが実情です。

歯周病と全身疾患の関連

最近わかってきた歯周病と全身疾患の関連について。

 細菌が体内に進入することを菌血症といいます。一過性の菌血症は、抜歯、スケーリング(歯石とり)などの歯科治療だけでなく、咀嚼運動やブラッシングによっても引き起こされることが報告されています。

 歯は硬組織が体の中と外を貫いている器官で、その硬組織と軟組織をつなぐ境界が歯肉です。歯肉と歯との間の溝を歯周ポケットといい、そこには常に細菌が常在しており、炎症を起こすと歯肉の上皮組織の断裂が起き、容易に細菌が侵入してきます。その細菌が血流にのり、全身にまわって各臓器に定着すると何らかの全身疾患が引き起こされる場合があります。健康な方では、免疫機構により細菌は排除されますが、何らかの疾患をお持ちの方や、高齢者は抵抗力が弱く、細菌を十分排除できずに定着してしまう恐れがあります。口腔細菌と関連する代表的な全身疾患について説明します。

狭心症・心筋梗塞

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。

血管内に発生するプラーク

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。

プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。

脳梗塞

脳の血管のプラークが詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる病気です。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。

血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療はより重要となります。

歯周病は糖尿病を悪化させる

最近、歯肉の炎症自体が糖尿病を悪化させる要因のひとつになっていると考えられています。炎症反応によって生じたさまざまな物質や歯周菌が産生する毒素が毛細血管から血液中に入り込み、インスリンの機能を障害していると考えられています。一方、糖尿病で血糖コントロールがよくないと、感染に対する抵抗力が低下し、口腔内細菌が増殖しやすいことから、感染症の一つである歯周病に悪影響を与えます。

反対に、歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。

歯周病と低体重児早産

妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。

これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。歯周病は治療可能なだけでなく、予防も十分可能な疾患です。歯周病の予防が大切な赤ちゃんを守ります。

口腔細菌が誤嚥性肺炎の原因となる

要介護高齢者などでは嚥下反射に障害のある方が多く、口腔内に細菌が多いとそれが肺に入り肺炎の原因となります。歯周治療や口腔ケアを行い、口腔内の細菌を減らしておくと、たとえ誤嚥しても、肺炎になる可能性を下げることができます。また、誤嚥性肺炎は、高齢者の寝たきり状態を長期化させる原因として重要な疾患であると同時に医療費のかかる疾患なのです。

敗血症、感染性心内膜炎

口腔内が不潔になると歯の周囲にプラーク(歯垢)が蓄積し、歯肉に炎症が生じて腫れあがってきます。そのような状態で、咀嚼運動やブラッシングを行うと一過性に口腔細菌が血管内に入り菌血症を生じます。全身状態が悪く抵抗力が低下している高齢者では、敗血症に移行することもあります。一方、心不全や心臓の弁置換手術後の高齢者では、血管内に入った口腔細菌が心内膜や人工弁に付着、繁殖し、感染性心内膜炎を発症します。本疾患で死亡した患者の心内膜を培養すると原因菌の約4割が口腔細菌であったという報告もあるので、心疾患を持っていたり免疫力の低下した高齢者では、口腔衛生管理に注意する必要があります。

歯周病とメタボリックシンドローム

詳しいメカニズムは解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLPS(歯周病菌由来の毒素)やTNFαは脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させます。

また、重度歯周病患者では血中CRP値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられています。

さらには、この慢性炎症が個体の老化を促進するという論文も出てきました。

このように歯周病とメタボリックシンドロームの関連性が注目されています。

まとめ

歯肉の炎症が全身に多くの影響を及ぼすことは昨今の研究で明らかになってきています。歯周病も糖尿病も生活習慣病ですから互いに深い関係があって不思議ではありません。

全身の健康に歯科ができること

毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が全身の生活習慣病を予防することにつながります

つまり虫歯菌や歯周病菌が付着する隙を与えずに大事な資産である歯を守るためには、定期検診が重要だということです。


最後に、【「リタイア前にやるべきだった…」後悔トップ20】というアンケートの結果です。

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