孤立と健康〜社会的つながりのススメ〜

健 康

目 次

はじめに

現在、未婚、離婚、独居、引きこもりの増加、さらに新型コロナウイルスの影響によってテレワークという新たな働き方が導入され、人々や物とのつながりが疎遠となる状況が深刻化しています。コロナ禍での生活上の先行き不安や、コロナ解雇・雇い止めで仕事を失う事例も増えており、誰もが孤立しやすい状況に直面しています。

そして実は今、私たちの健康に重大な悪影響があると懸念されているものがあります。それが「孤立」です。

そこで今回は、孤立と健康の関係について紹介します。

ちょこぶら
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孤立と健康?

1人でいることも好きだけどな…

この記事はこんな方におすすめ
  • 孤立と健康の関係性について知りたい方
  • 孤立の影響を知りたい方
  • 身内、近所で気になる人がいる方

人生の3大不安は、「病気」「孤独・孤立」「貧困」

人生の3大不安は、「病気」「孤独・孤立」「貧困」だと言われます。これらのうち「孤独・孤立」は身体的な病気ではありませんが、社会的な病的状態ともいえ、さまざまな病気の温床となり得ます。

 人との繋がりと健康リスクとの関連を調べた数々の研究をまとめた報告によると、孤独・孤立はタバコの害悪に匹敵するくらいの健康リスクがあると見積もられています。孤独・孤立は、生活や生きがい、ストレスなどのプロセスの中で、最終的に健康や命に大きく関わってくることがかなり分かってきているのです。

 65歳以上の日本人高齢者を対象に調査したところ、友人と月に1〜4回ほど会っている人は、ほとんど会わない人に比べて、血糖コントロールが不良となるリスクが半減するという報告もあります。このように孤立している人、家や仕事がなくて社会での役割が感じられない人ほど不健康になりやすく、その影響は、高血圧、アルコール依存症、うつ病、狭心症、糖尿病、認知症など多岐にわたります。

 また、65 歳以上の要介護状態でない人たちが5年後に認知症にならない確率は、料理をしている人はしていない人の3.3 倍、趣味がある人はない人の2.2 倍、他人の相談にのる人は乗らない人の2.2 倍で、これらの影響は歩行を30 分以上した、または喫煙しないことによる影響がそれぞれ1.5倍であったのに比べて、より高い結果でした。

孤立の具体的な影響

社会とのつながりが少ないと死亡リスクが飲酒・喫煙・肥満より上回る

このグラフは、私たちの死亡リスクが何によってどれぐらい高まるかを示しています。「孤立」つまり「社会とのつながりが少ない」ことは、喫煙、過度の飲酒、肥満を上回るリスクなのです。

孤立が引き起こす病気の発症リスク

また、社会とのつながりが少ないと、脳卒中や心臓病は1.3倍、認知症は1.5倍発症しやすくなります。

孤立がよくない理由としてはストレスの影響が考えられます。私たちが孤独を感じているとき、脳には体の痛みに等しいほど大きなストレスがかかっています。ストレスは心や体を害します。脳や心臓の血管にもダメージを与え脳卒中や心臓病に直結します。

反対に、社会とのつながりが健康寿命を延ばすことも立証されています。ボランティア、趣味、けいこごとなどのグループ活動に参加している人は、そうでない人に比べ、自立した生活を長く維持できているのです。

孤独感への対策

現代社会では、人と人の関係が希薄化していると言われます。さらにこのコロナ禍ではテレワークという新たな労働形態にシフトしています。そのため、周りにすぐに相談できる人がいない、契約先と容易に面会できない、顧客と接することができないなど、孤立、孤独感が急速に立ち込めてきました。ポイントとなるのは、実際にどれだけ孤立しているかではなく、どれだけ孤独感を抱いているかが健康度に影響している点です。

「孤独・孤立」の解消には“多接”

“多接”は、日本生活習慣病予防協会が提唱する健康スローガン「一無(禁煙)、二少(少食、少酒)、三多(多休、多動、多接)」のひとつ。

”つながり”の環境が大切

      つながりを保つ秘訣
① ガッツリ参加ではなくちょこっと参加   
② 自分が楽しめることを
③ 仕事も一つのつながり

1つめは「がっつり参加」でなくても「ちょこっと参加」でもOK。マイペースでいいのです。がんばり過ぎると燃えつきてしまう心配もあります。また「社会参加」を大げさに考えることはありません。自分の買い物のついでに買い物代行のボランティア、出かけるついでに近所の方の見守り、といったことから始めてはどうでしょう。

2つめは「自分が楽しめることを」。人の役に立つかどうかにこだわらず、自分のための活動でまったくかまいません。また、「これなら楽しめる・やりたい」という活動をじっくり探してください。今すぐ見つからなくてもかまいません。人生100年時代、気長にいきましょう。

3つめは「仕事も つながりの1つ」。会社一筋だった人がいきなり地域などのグループに飛び込むのは簡単ではありません。その場合、退職してからもある程度仕事を続けてはどうでしょう。それが新しい社会活動へのソフトランディングにつながります。

         つながりの目安
① 1日1回以上外出
② 週1回以上友人・知人など交流
③ 月1回以上楽しさ・やりがいのある活動に参加   

「1日1回以上外出」。犬の散歩でもコンビニへの買い物でもなんでもかまいません。きっちりした用事がなくても意識して外に出ましょう。
「週1回以上友人・知人などと交流」。これまでにつきあってきた友人や知人との関係を大事にし、積極的に連絡を取り合ってみるといいでしょう。
「月1回以上楽しさ・やりがいのある活動に参加」。さまざまな活動があります。自分が楽しく活動できそうなものを探してほしいと思います。

まとめ

大勢の人に囲まれている人であっても、当人が孤独感を抱いていれば、その人は孤独ということになります。逆に一人暮らししている人であっても、遠方の友人が心の支えになっているなら、その人は孤独ではないことになります。心を支えてくれるのは人とはかぎらず、ペットであっても、とにかく孤独感を感じないことが大切になります

身近に思い当たる人がいる方はその人が”孤独を感じていないか”少し気にかけてはどうでしょうか。

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