人工甘味料の影響〜人工甘味料は安全なのか〜

健 康

目 次

はじめに

砂糖のとりすぎが、健康に悪いことはよく知られています。それでも甘いものを食べたい。だから砂糖の代わりに、カロリーの低い人工甘味料を使おう。こうした考え方で、人工甘味料は世界中で使われるようになりました。では、砂糖を人工甘味料に置き換えると、健康によいのでしょうか。これには賛否両論があります。

砂糖の代替品として登場した人工甘味料は、カロリーが非常に低いことから、消費者に歓迎されており、世界的な摂取量は年々増えている。キッチンや食卓に備えて砂糖の代わりに使うだけでなく、多くの飲料や幅広い食品に添加されています。

この記事では、人工甘味料について紹介します。

ちょこぶら
ちょこぶら

人工甘味料?

カロリーオフ商品によく添加されてるよね??

この記事はこんな方におすすめ

☑︎人工甘味料について知りたい方

人工甘味料とは

人工甘味料は砂糖のような自然に存在するものと異なり、人工的に化学合成された甘味料である。代表的なものとしてアスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロースがある。

人工甘味料に関する記事

ダイエット清涼飲料水と糖尿病について

人工甘味料の代表的な摂取源であるダイエット清涼飲料水について、習慣的な摂取量と糖尿病発症との関連を検討した。富山県の金属製品製造業事業所の従業員を対象に、2003年に栄養調査を行い習慣的なダイエット清涼飲料水の摂取量を調査した。このうち糖尿病のない35~55歳の男性2037人について、毎年の健康診断の結果を追跡して糖尿病発症を確認した。2010年までの7年間で新規に170人が糖尿病を発症した。2003年のダイエット清涼飲料水の摂取量と糖尿病発症との関連を検討すると、ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人と比べて糖尿病発症の危険が1.7倍高かった

図1 習慣的なダイエット清涼飲料水の摂取量と7年間の糖尿病発症との関連

 ダイエット清涼飲料水の摂取量と糖尿病の発症を観察した研究は欧米でもいくつか報告されているが、ダイエット清涼飲料水の摂取量が肥満と独立して糖尿病発症と関連を認めたという報告と、関連は認めるものの肥満を考慮すると関連はなかったという報告とがあり、結果は一様ではない。実際に、もともと糖尿病になりやすい肥満者がダイエット清涼飲料水を好んで摂取している可能性はあるので、結果の解釈には注意が必要である。しかし、近年になり、人工甘味料の血糖値を介さない糖代謝への影響についていくつかの可能性が報告されており、ダイエット清涼飲料水の摂取が糖尿病のリスクを高めるメカニズムについても明らかになりつつある。

人工甘味料の糖代謝への影響

人工甘味料が血糖値の上昇もなく熱量も無視できる程度であるにもかかわらず肥満や糖尿病と関連する理由として、これまでは、人工甘味料の利用による節減エネルギーを過大評価したり、摂取エネルギーを節減できたことに安心したりすることで、余分に食べ過ぎてしまうのではないか、という心理的な理由が考えられていた。しかし近年、人工甘味料の味覚に及ぼす生理的な反応が摂食行動に影響を与える可能性が報告されている。本来、日常の食事の中では、甘味の感覚に続いて血糖値が上昇することが条件付けされているが、人工甘味料の場合は甘味の後に血糖値の上昇が起こらないため、エネルギーの恒常性が崩れ、脳の反応を介して摂食行動などが促進され、むしろ太りやすくなる、というものである。また、人工甘味料の強い甘味に慣れると、甘味に対する感覚が鈍麻どんまし、より甘い糖質を多く摂取する可能性もある。最近では、味覚を感じる細胞が舌だけでなく腸管に存在することも明らかになり、腸管で甘味を感じると、腸から分泌されるインクレチンというホルモンがインスリン分泌を促進したり、腸からの糖の吸収が促進されたりすることが報告され、腸管での味覚刺激が糖代謝に影響する可能性も考えられている。

 最近、人工甘味料による糖代謝の影響を考える上で重要視されているのが腸内細菌そう(腸内フローラ)である。マウスにブドウ糖または人工甘味料の一つであるサッカリンを投与すると、サッカリンを投与されたマウスでは、糖負荷試験で耐糖能異常を認めた。サッカリンを投与されたマウスとブドウ糖を投与されたマウスを比較すると、両者では異なった腸内細菌叢の分布を示した。また、サッカリン投与マウスの耐糖能障害は抗生剤を投与すると改善すること、サッカリン投与マウスの腸内細菌叢やサッカリン存在下に培養された腸内細菌を無菌マウスへ移植すると耐糖能障害を引き起こすこと、ヒトにおいてもサッカリン投与により耐糖能異常を認めたものでは投与前後で腸内細菌叢の変化を認め、投与後の腸内細菌叢をマウスに移植することで耐糖能異常を引き起こすこと、などの結果から、サッカリンによる腸内細菌叢の変化により耐糖能異常が生じていると考えられた。機序としては、サッカリン投与により腸内細菌のグリカン分解経路が活性化し、 それに伴いエネルギー吸収の増加につながる短鎖脂肪酸が腸管内に増加することが示され、そのことが耐糖能異常を誘発したと考えられている。

 このように、人工甘味料による肥満・耐糖能障害の発症の機序はいくつか想定されているものの、まだ不明な点が多く、さらなる動物実験やヒトを対象とした研究が必要と思われる。

人工甘味料の影響

エリナブ氏のチームはまず、1375人の参加者の中から、過去にゼロカロリーの甘味料を摂取したことのない120人をランダムに分けて、一般的な非栄養性甘味料4種(サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビア)のうちいずれか1つを2週間摂取してもらった。科学者らは比較のため、これらの甘味料を与えられていないグループも設定し、それぞれの血糖値の反応を比較した。

まず、4種の甘味料のうちいずれかを摂取し始めて2週間以内に、科学者らは、参加者の腸内細菌集団に明確な変化を認めた。「腸内細菌の構成、機能、それらが血中に分泌する分子に、明らかな変化が確認されました」とエリナブ氏は言う。つまり、腸内細菌が非栄養性甘味料に迅速に反応するということだ。

そのうえで、食後の血糖をコントロールする機能にこれらの甘味料がどのような影響を及ぼすかを確かめるため、研究者らは、参加者にブドウ糖飲料を飲ませて血糖値の変化を調べた。通常、血糖値は15〜30分でピークに達し、2〜3時間以内に普段の値に戻る。血糖値がずっと高い状態にとどまる場合、体が過剰なブドウ糖を適切に処理・貯蔵できていない「ブドウ糖不耐症」と呼ばれる状態になっていることが示唆される。

今回の研究において、スクラロースとサッカリンは体をブドウ糖不耐症へと近づけた。もしこの状態が継続すれば、体重の増加や糖尿病を引き起こす可能性がある。アスパルテームとステビアは、試験で摂取したレベルでは耐糖能に影響を与えなかった

腸内細菌叢の乱れが血糖値に影響を及ぼすことを確かめるために、科学者らは、参加者の便から採取した糞便微生物を無菌のマウスに投与した。これにより判明したのは、血糖値の上昇した参加者から採取した微生物は、マウスの血糖コントロールも弱めたということだ。

腸内細菌と、それらが人間の血流に分泌する分子は、4種の非栄養性甘味料を摂取した参加者全員において大きく変化しました」とエリナブ氏は言う。「グループそれぞれで独自の反応が見られました」

長期間の追跡こそしていないものの、今回の研究では、人間の細菌叢が、非栄養性甘味料に対して非常に個人差のある反応を示すことも初めて明らかになった。これはつまり、全員ではないにせよ一部の人たちにおいては、人工甘味料によって糖の代謝が混乱させられる可能性があるということだ。

人工甘味料と血管疾患

人工甘味料の摂取と心血管病の関係を調べた大規模な研究結果が最近医学誌に発表されました。これはフランスの成人10万人を対象に、飲料だけでなく食品に添加されたものまで含む人工甘味料の摂取量が心血管病の発症に影響しているかどうかを見ています。結果は、人工甘味料を多く摂取している人は全く摂らない人に比べ、心血管病の発症が若干増え、特に脳血管障害は18%増えていました。研究ではよく使われている3種類の人工甘味料に着目していますが、アスパルテームは脳血管障害を17%、アセスルファムKとスクラロースはそれぞれ40%と31%、冠動脈疾患を増やしていました

これまでの研究でも、人工甘味料の使用が体重を増やすことや、腹部肥満を助長しメタボリック症候群を増やすことが指摘されており、結果的に動脈硬化を促進し、心血管病を増やしてしまう可能性が考えられます

現時点では、少なくとも人工甘味料は砂糖の代用品として安全で健康的なものであるとはいえないでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人工甘味料については調べれば様々な研究結果を知ることができ、現代においても研究は続いています。その人体への影響は賛否両論であり、数々の文献を読んだ上で個人の考えや見解も必要であると考えます。

本記事を参考にして、上手に人工甘味料は活用してより良い日々を過ごしてください。

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