目 次
はじめに
「ちゃんと寝ているはずなのに、朝起きても疲れが残っている……」
「昼間眠くなって作業に集中できないんだよなあ……」
というように、睡眠や眠気について悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は睡眠は「眠った時間」とともに「眠りの質」も重要です。
時間も質も確保できていない慢性的な睡眠不足の状態に陥ってしまうと、朝の寝起きが悪かったり、日中に強い眠気が生じたり、糖尿病をはじめとした生活習慣病にかかるリスクも上がってしまいます。
この記事では知っているようで知らない睡眠の重要性や、ぐっすり眠るための秘訣をご紹介します。
また、寝つきを悪くしてしまう可能性のある行動もあわせて解説しているので、ぜひご自身の生活習慣を振り返るきっかけにしてみてくださいね。
睡眠の質について知りたい
質の良い睡眠とは
質の良い睡眠とはどのような睡眠かを厚生労働省の資料で示されている睡眠の質の評価指標から考えていきましょう。
- 規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがはっきりとしている
- 必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気や居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる
- 途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる
- 朝は気持ちよくすっきりと目覚める
- 目覚めてからスムーズに行動できる
- 寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できる
- 睡眠で熟眠感が得られる
- 日中、過度の疲労感がなく満足度が得られる
今すぐできる!ぐっすり眠るための秘訣とは
「ぐっすり眠るためにはどうしたら良いのか」もっとも気になるポイントですよね。
そこで、ここからは今すぐ実践できるぐっすり眠るための秘訣を「生活習慣」と「食習慣」に分けてご紹介します。
いずれも日常に簡単に取り入れられる工夫ばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。
これから一つ一つ詳しく解説していきましょう。
【生活習慣における工夫】
- 朝起きたら日光を浴びる
- 夕方に軽い運動をする
- 寝る2~3時間前に入浴する
【食習慣における工夫】
- 朝ごはんに乳製品をとる
- GABAが含まれた食品をとる
- グリシンが含まれた食品をとる
- テアニンが含まれた食品をとる
【生活習慣における工夫】
朝起きたら日光を浴びる
朝の起床後に日光を浴びるのは、ぐっすり眠るためにとても大切なことです。
朝起きてすぐに光を浴びることで、私たちは体内時計を調整することができます。
実は人間の体内時計の周期は24時間よりも長くできているため、何もせずにいると毎日体のリズムが後ろ倒しになってしまうのです。その体内時計のリズムを整えてあげるために、起床直後に日光を浴びることは非常に効果的だといわれています。
朝、起きてすぐに太陽の光を浴びると、24時間よりも長い周期の体内時計のずれをリセットすることができます。夜は家の照明の光でも浴びると体内時計が遅れてしまいます。夜の照明はひかえめにして、朝起きたらカーテンを開けて自然の光を浴びましょう。
(2)夕方に軽い運動をする
運動と睡眠には深い関連性があり、日頃から体を動かす習慣がある人には不眠が少ないといわれています。
そうはいっても、「体を動かすのってハードル高いし、ちょっと面倒くさいなあ……」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
できることなら最低限の運動量で睡眠の質を上げたいですよね。
そんな方におすすめなのが夕方から夜にかけての軽いウォーキングです。
就寝時間の3時間前程度に軽い有酸素運動をして脳の温度を一時的に上げることで、横になってからの脳の温度が通常時より下がり、寝つきがよくなります。
もちろんジョギングやジムでのエクササイズなども有効ですが、重要なのは毎日続けられる運動をすることです。
夕方から夜間にかけての運動は単発的に行っても睡眠に大きな影響はなく、習慣的に行うことが効果的だといわれています。
帰り道に1駅歩いてみる、動画をみながらちょっとしたエクササイズをするなど、体に負担がかかりすぎず、ストレスなく継続できる運動を自分なりに探してみてくださいね。
就寝直前に激しい運動をすると、かえって寝つきを悪くしてしまう恐れがあります。あくまでも布団に入る3時間前を目安にするよう注意しておきましょう。
(3)寝る2~3時間前に入浴をする
寝る前にお風呂に入ることで睡眠の質が上がるというのは、多くの人がご存じでしょう。
しかし入浴するタイミングによって睡眠に異なる影響が出ることはあまり知られていないかもしれません。
入浴は体温を一時的に上げるので運動と同じように寝つきを良くし、深い睡眠を得る効果があります。38度のぬるま湯では25~30分の入浴、42度の熱めのお湯では5分程度の入浴、または約40度のお湯で半身浴をするのがおすすめです。体調や好みに合わせた入浴スタイルを選びましょう。
お仕事などでゆっくりお風呂に入る時間に余裕がないという方も、なるべく入浴後2~3時間後に寝るように意識するといいですね。
【食習慣における工夫】
朝ごはんに乳製品をとる
良く眠るためにおすすめなのが、牛乳やヨーグルトといった乳製品を朝ごはんに取り入れることです。
乳製品なら、忙しい朝でも手軽に摂ることができますよね。
牛乳をはじめとした乳製品の摂取量が高い人は、摂取量が低い人に比べて起床時刻が早く、日中に眠気を感じる傾向が低いことが分かっています。
乳製品には抑うつ効果もあるとされ、心身ともに健康を増進する効果があるのです。
また、朝食を摂ることで日中の活動に必要なエネルギーを補給することができます。
朝食を摂らないとエネルギーが足りず運動不足になり、さらに睡眠の質が下がってしまうかもしれません。
乳製品を含んだ朝食を摂れば一石二鳥で睡眠に良い影響を与えられるでしょう。
(2)GABAが含まれた食品をとる
睡眠の質を向上させる効果があるとして近年注目されているのが「GABA」です。
「GABAって本当に効果があるのかな……?」と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
近年発表された研究では就寝30分~60分前にGABAを摂取した人の睡眠の質が改善されたことが報告されています 。
この研究によれば、GABAを2週間とり続けた人はノンレム睡眠の時間が増え、よりぐっすりと眠ることができるようになったとのことです。
サプリメントをはじめ、最近ではGABAが配合されたお菓子も販売されています。
気軽に摂取できるのがうれしいポイントですよね。
GABAが配合されているサプリメントやお菓子などで、眠りに対する効果が証明している商品の多くは「機能性表示食品」です。機能性表示食品とは、企業が科学的な根拠をもって人の体に与える影響を表示している食品のことをいいます。
仕事や勉強で忙しいときには、手元にGABA入りのサプリメントやお菓子など手軽に食べられる食品を用意しておくと良いでしょう。
妊娠中の方は、サプリメントや健康食品などを服用する際かかりつけの医師に相談するべきだといわれています。GABA配合のものも同様に、活用したくなった場合はかかりつけの医師に確認してみましょう。
(3)グリシンが含まれた食品をとる
グリシンも睡眠の質を高めるのに有効な成分(たんぱく質を構成するアミノ酸の一つ)だといわれています。
就寝前にグリシンを摂取すると、翌日の眠気や疲労が改善されたという研究結果が発表されています。
グリシンは以下のような食品に多く含まれています。
【グリシンを多く含む食品】
食品名 | 含有量(可食部100g当たり) |
---|---|
ほたて貝柱(煮干し) | 7700mg |
するめ | 5000mg |
かつお削り節 | 3500mg |
ビーフジャーキー | 2700mg |
鶏もも肉(皮付き、焼き) | 2100mg |
「自分で料理するのは苦手……」という方は、サプリメントを利用するのも良いかもしれませんね。
グリシンは、睡眠の質を上げるだけではなく、統合失調症や脳卒中などにも有効であるといわれています。人体にとっては安全な物質だといわれていますが、妊娠中・授乳中の方はサプリメントや健康食品などから摂取する場合には服用の前にかかりつけの医師に相談してみましょう。
(4)テアニンが含まれた食品をとる
テアニンという成分にも睡眠の質を高める効果があるといわれています。
テアニンはアミノ酸の一種で、緑茶や紅茶などに含まれるうま味成分の一つです。
お茶を飲むと気持ちが落ち着くのは、テアニンの作用であるといわれています。
テアニンはお茶から摂取することもできますが、お茶には眠気覚ましの効果があるカフェインも含まれています。
そのため睡眠の質を高める目的でテアニンを摂取したい場合は、サプリメントやテアニンが添加された健康食品から摂取するのがおすすめだといえるでしょう。
テアニンにはストレスを軽減する作用もあります 。睡眠不足が重なりストレスなどでお困りの方は、テアニンが配合されたサプリメントなどをとってみると良いかもしれませんね。ただし、妊娠中・授乳中の方はサプリメントや健康食品などから摂取する場合には服用の前にかかりつけの医師に相談してみましょう。
注意!眠りの質を下げるリスクがある行動
ここまで良質な睡眠をとるための工夫をご紹介してきましたが、逆にいうと「睡眠の質を下げるリスクがある生活習慣」も存在しています。
あなた自身の生活を振り返ってみて、無意識のうちに睡眠の質を下げる行動をとっていないか、この機会にぜひ確認してみてくださいね。
【眠りの質を下げるリスクがある行動】
- 寝る直前に食事をとる
- 寝る前にアルコールやカフェインを摂取する
- 寝る前にたばこを吸う
- 寝る前にブルーライトを浴びる
リスクがある行動1 寝る直前に食事をとる
就寝時間の直前に食事をとってしまうと、消化活動が睡眠を妨げてしまいます。
「夕食を早い時間にとったせいで空腹に我慢できず、つい夜食を食べてしまった……」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
寝る直前の遅い時間にとる食事は寝つきを悪くするだけでなく、体内に脂肪がたまりやすくなるというリスクもあります。
仕事の都合で夕食が遅くなってしまう場合は、作業をしながら軽い食事をとるなどして、なるべく就寝間際に食べる量を減らすようにしましょう。
リスクがある行動2 寝る前にアルコールやカフェインを摂取する
寝る前のアルコールやカフェインも深い睡眠を妨げる原因になります。
なかなか寝つけない夜などに、「寝酒」としてアルコールをたしなむ方も少なくないでしょう。
アルコールが一時的に寝つきを良くするのは確かですが、明け方の睡眠を浅くします。
「お酒を飲んだ翌日に疲労感が残っている」という経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、コーヒーや紅茶、緑茶といったカフェインが含まれる飲み物には意識が冴えてしまう効果があるため、就寝前にはおすすめできません。
カフェインの効き目は人によって個人差がありますが、敏感な方は寝る時間の5~6時間前から控えておくと安心でしょう。
リスクがある行動3 寝る前にたばこを吸う
就寝前の喫煙にも眠りの質を下げるリスクがあります。
たばこに含まれるニコチンが刺激剤として作用し、良質な眠りを妨げることになるからです。
日頃から喫煙の習慣がある方は、仕事や作業が終わり一段落した後など、ついたばこに手が伸びてしまいますよね。
ただし、ぐっすり睡り日々の疲れを効率的にとるためには、寝る前の喫煙はなるべく控えるのがおすすめです。
リスクがある行動4 寝る前にブルーライトを浴びる
寝る前にスマートフォンなどを使ってブルーライトを浴びるのも寝つきが悪くなる原因の一つです。
布団やベッドに入ってからついスマートフォンをチェックしてしまうという方も多いのではないでしょうか。
ブルーライトは眠気を発生させる「メラトニン」の分泌を抑えるはたらきがあるため、寝る前にスマートフォンを見ると寝つきが悪くなってしまうのです。
寝る1時間前はスマートフォンなどのデジタル機器を使用しないなど、寝る直前にブルーライトを浴びないように気を付けましょう。
まとめ
睡眠は、時間だけでなく質も重要です。
「ちゃんとまとまった時間寝ているはずなのに、どうして昼間眠くなるんだろう?」と感じていた方も多いと思いますが、その原因はおそらく睡眠の質にあるでしょう。
睡眠は長く寝れば寝るほど良いというものではなく、かといって短ければ良いというものでもありません。
質の良い睡眠をしっかりととるように意識しましょう。
食生活の工夫やちょっとした運動を行ったり、寝る前の行動を見直したりするだけで、睡眠の質が良くなるかもしれません。
いずれも当たり前のことのように思えるかもしれませんが、自分の生活を振り返ってみると意外とできていないことも多いのではないでしょうか。
この記事でご紹介した方法を実践し、日々の睡眠を改善して健康な毎日を送ってください。
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